大日本弓馬会の日本博事業  

The Japan Equestrian Archery Association
公益社団法人 大日本弓馬会

令和6年1月1日に発生した能登半島地震の甚大な被害からの早期復興を祈願して流鏑馬を執り行います。
また、当日は来場者から義援金のご寄付を募り、全額を被災地にお届けします。

≪開催概要≫
 日 時  令和6年3月17日(日)13:00~15:25(12:00受付開始予定)
       ※馬が走り始めるのは13:45頃の予定です。
       ※雨天時は3月24日(日)に順延します。
 場 所  大日本弓馬会「流鏑馬鎌倉教場」(鎌倉市梶原) 

    

 

流鏑馬と笠懸の動画公開

令和5年度日本博2.0事業(委託型)による、流鏑馬と笠懸の動画をYouTubeにアップしました。
「流鏑馬」と「笠懸」に加え、最も重要な技術である「立ち透かし」の簡単な解説と、大日本弓馬会の恒例行事を紹介します。
<日本語版>
動画URL https://youtu.be/PBvqp28tIP8

The video on Yabusame and Kasagake is on view.

The video on yabusame and kasagake events adopted as a 2023 Japan Cultural Expo 2.0 Project (Commission type) is now uploaded on YouTube.
Besides yabusame and kasagake, there is a brief explanation on the most important technique called Tachisukashi.
The annual events of the Japan Equestrian Archery Association are also introduced.
https://youtu.be/ZzXSbXSWqJA

 

<第2回> 鎌倉教場流鏑馬神事 〜Discover YABUSAME〜
令和5年12月2日(土)9時00分開場(予定)

9時00分 文化展示(能、鎌倉彫、鎌倉時代の食文化、甲冑、流鏑馬など)
10時00分 流鏑馬神事
12時15分 笠懸デモンストレーション、大鎧デモンストレーション
12時45分 能楽講話、子ども引馬体験、馬へのエサやり体験
13時00分 射手との交流会
※いずれも予定です。天候によっては一部省略する場合があります。
(10:00からは祭典を行います。馬が走り始めるのは10:40頃からの予定です。)
○当日会場の受付にて1,000円以上のご寄付をいただいた方にお席をご案内いたします。
○ご寄付のいらない立ち見スペースのほか、会場入口に設置する大型モニターでもご観覧いただけます。
※入場可能者数に限りがあるため、満員の場合はご容赦ください。
※当日お越しの際は、寒さ対策をお願いいたします。

アクセスMAP

令和5年 上賀茂神社笠懸神事

10月15日(日)開催の「上賀茂神社笠懸神事」に合わせて、同地で『令和5年度日本博2.0事業「笠懸神事をもっと楽しむ」』を開催します。今年930年を迎えた日本最古の競馬といわれる「賀茂競馬(かもくらべうま)」が同じ上賀茂神社で奉納されていることから、これと連携した企画も行います。 09:30~10:30 笠懸講座 09:30~16:00 賀茂競馬・笠懸 合同展示 14:55~15:25 特別対談「上賀茂神社の馬の神事~賀茂競馬と笠懸~」15:00~16:00 笠懸出場馬へのエサやり15:45~16:00 射手との交流会

日本博2.0事業(委託型)「流鏑馬及び笠懸の磨き上げによる満足度向上事業」について

令和5年7月16日(日)09:30~ライブ配信を行います(流鏑馬開始は10:00予定)
URL:https://www.youtube.com/watch?v=YOzQGErnXcU

当日は気温が大変高くなる予報です。
熱中症の危険がありますので、無理して会場にお越しにならなくても、ライブ配信でご覧いただけます。
(10:00からは流鏑馬神事の祭典を行います。馬が走り始めるのは10:50頃からの予定です。)

令和5度日本博2.0事業(委託型)として大日本弓馬会の「流鏑馬及び笠懸の磨き上げによる満足度向上事業」が採択されました。詳しくは特設ページを御覧ください。

日本博主催・共催型プロジェクト「上賀茂神社笠懸神事」について
令和4度日本博主催・共催型プロジェクトとして大日本弓馬会の「上賀茂神社笠懸神事」が採択されました。詳しくは特設ページを御覧ください。
ライブ配信はこちら

鎌倉教場の追加工事完了と「鎌倉教場開設1周年記念流鏑馬」について
令和4年3月20日(日)13:00~15:00に「鎌倉教場開設1周年記念流鏑馬」を執り行いました。
昨年秋に実施した鎌倉教場の追加工事に関するクラウドファンディングへの支援者をはじめ、これまで大日本弓馬会に対して御支援・御協力くださった方々を招待しての開催です。
御観覧いただいた皆様には、鎌倉教場まで御足労いただきまして、まことにありがとうございました。

最大900名が観覧できるスペースに170名のみでの観覧となったことから、どの席からも馬場が良く見える環境を用意することができました。
気温が上がらない寒い日で、午後からは風も強くなりましたが、御観覧いただいた皆様には、流鏑馬の迫力を体感していただけたのではないかと考えております。

おかげ様をもちまして、鎌倉教場の追加工事が完了いたしました。
追加工事では、
■更衣室

■散水用水道設備

■馬用日除け

を設置いたしました。
いずれも必要不可欠な設備です。

これで、初期工事で設置した
■全長220mの鉄砲馬場(直線馬場)

■24m四方の角馬場(方形馬場)

■倉庫
■仮設トイレ
■放馬防止柵
と合わせ、ついに鎌倉教場は完成を見ることとなりました。

御支援・御協力くださった皆様には、改めてお礼申し上げます。

この鎌倉教場は、220mの流鏑馬専用馬場を備えた常設の施設としては、日本最大規模です(当会調べ)。
この恵まれた環境を最大限に活用し、日頃から稽古で腕を磨き、時に行事本番で素晴らしい騎射を披露するとともに、流鏑馬の聖地ともいえる「武家の古都 鎌倉」から、日本弓馬術、流鏑馬の魅力を発信してまいります。

今後も、日本弓馬術、流鏑馬の維持継承に御理解と御協力を賜りますよう、よろしくお願いいたします。

御寄附下さいました方々のリストはこちらからご覧いただけます。

クラウドファンディングへの御協力のお礼(第2報)
<結果はこちらから>
https://camp-fire.jp/projects/view/449211

大日本弓馬会の2回目のクラウドファンディングは、目標額を達成し、無事に終了いたしました。
御支援いただいた皆様まことにありがとうございました。

流鏑馬は、よく調教された馬、既に製法が絶えた和式馬具、会場となる馬場、よく訓練された射手の全てが揃わなければ行うことができません。
その中でも、最も準備に時間がかかるのが射手の育成です。
そして、射手の育成に必要不可欠なのが、稽古場です。
この稽古場に不可欠なのは、当然ながら流鏑馬用の馬場ですが、稽古に専念しやすくするための環境整備も欠かせません。

このたびのクラウドファンディングでは、この稽古場の環境整備のための付帯設備について、皆様に御支援をお願いしたものです。
おかげさまで、更衣室、散水用水道設備、馬の日除けといった設備を設けることができ、より一層、素晴らしい稽古環境を整えることができるようになりました。
更に腕を磨けること間違いありません。
皆様に御支援いただいた、この鎌倉教場から、近い将来、次世代の担い手が誕生し、流鏑馬が永遠に継承される礎となってくれることでしょう。

大日本弓馬会は、皆様の御期待と叱咤激励にお応えすべく、全身全霊を傾けて流鏑馬の維持継承に取り組んでいく所存でございます。
今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます。

東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会 安全祈願奉納流鏑馬

令和3年7月17日(土)、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の安全と成功を祈願するため、「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会 安全祈願奉納流鏑馬」を明治神宮において実施いたしました。
この流鏑馬は、「令和3年度 日本博 主催・共催型プロジェクト」と「東京2020 NIPPONフェスティバル共催プログラム」に採択され、文化庁・独立行政法人日本芸術文化振興会と共同主催、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会と共催により実施したものです。
当日は新型コロナウイルス感染症の感染防止対策のため、無観客での開催となりましたが、その様子をオンライン上でライブ配信し、現在もアーカイブで視聴可能です。また、当日の映像を編集し、流鏑馬の見どころをまとめた映像資料を制作してオンライン配信しています。
特設ページはこちらよりご覧いただけます

◆当日の映像を編集して流鏑馬の見所をまとめた動画
<配信URL>
日本語(6分版) https://www.youtube.com/watch?v=yVhBEixDBGw
日本語(1分版) https://www.youtube.com/watch?v=dePsjgvyZA0
英 語(6分版) https://www.youtube.com/watch?v=Qh0Os2PEoWw
英 語(1分版) https://www.youtube.com/watch?v=MjhzCqihMxw

◆ライブ中継(テロップなし)、アーカイブ(テロップあり)←「テロップあり」がおすすめです。
<配信URL>
ライブ中継(テロップなし。2時間29分) https://www.youtube.com/watch?v=QxsSi_qmVCU
アーカイブ(テロップあり。2時間20分) https://www.youtube.com/watch?v=J1a1PTypB-U

また、期間限定ではありますが、日本語(6分版)の動画が、「バーチャル日本博」の正面メインモニターで配信されています。
https://japanculturalexpo.bunka.go.jp/vp/
Youtubeでも視聴できますが、まだの方はバーチャル日本博も併せて御覧ください。

令和4127日に公開されたオリパラ組織委員会がまとめたレポート・記録映像に、大日本弓馬会が令和3717日に実施した「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会 安全祈願奉納流鏑馬」が掲載・収録されました。

 「東京 2020 文化オリンピアードレポート」

日本語版(55ページ目、PDF60枚目)
https://www.tokyo2020.jp/ja/games/legacy/TOKYO%202020%20Cultural%20Olymiad%20Report_JP.pdf
英語版(48ページ目、PDF52枚目)
https://www.tokyo2020.jp/ja/games/legacy/TOKYO%202020%20Cultural%20Olymiad%20Report_EN.pdf

「東京 2020 NIPPON フェスティバル記録映像」

ロングバージョン(約15分)12:52
日本語字幕 https://www.youtube.com/watch?v=ZKpfWEZfPk4
英語字幕 https://www.youtube.com/watch?v=z6StJvr2ZYA

 ショートバージョン(約5分)3:41
日本語字幕 https://www.youtube.com/watch?v=1WswStNn9xw
英語字幕 https://www.youtube.com/watch?v=lXhJy9M4-Vo

流鏑馬鎌倉教場からの御報告
多くの方々に御支援いただき、令和2年11月15日に完成した流鏑馬専用馬場「流鏑馬鎌倉教場」は、おかげさまを持ちまして、完成から1年が経過いたしました。
この期間中、流鏑馬の維持継承に努める門人達が稽古に精励するとともに、令和2年11月29日には『令和2年度 日本博 主催・共催型プロジェクト「世界平和・健康祈願流鏑馬」』を、令和3年4月4日には馬場建設に御協力いただいた方々を招待した「鎌倉教場建設記念流鏑馬」を開催し、いずれも感染症対策のため観覧者数に限りがあったものの、盛況のうちに終了いたしました。
改めまして、建設資金に御寄付くださった皆様、クラウドファンディングに御協力いただいた皆様、クラウドファンディングを強くサポートしてくださったCAMPFIRE GoodMorning社の皆様に厚く御礼申し上げます。

ご寄附下さいました方々のリストはこちらからご覧いただけます。

令和2年度日本博主催・共催型プロジェクト「世界平和・健康祈願流鏑馬」の最後の成果物である流鏑馬のプロモーション映像が完成しました。

本作は最新の8K規格にて撮影・制作されたものですが、ウェブ上で公開するためダウンサイジングしております。
それでも超高画質なので、できるだけ大画面で御視聴いただくとよりお楽しみいただけます。

・下記YouTubeにて視聴の場合、別ウィンドウが開きます。
(YouTube):https://youtu.be/QK6b9YVa90w
・設定より画質を調整頂けます。

Yabusame 
流鏑馬(やぶさめ)

Yabusame is a ritual where the archers aim at targets from horses running at full speed.
Tachisukashi is a special technique that shows the beauty of horseback riding doing away with the up and down movements of the upper body.
Please watch Yabusame which has the tradition of 800 years, presented by the Japan Equestrian Archery Association.

流鏑馬(やぶさめ)。
全速力で走る馬の上から的を射る神事。
上半身が上下動しない美しい馬上姿勢を可能にする究極の技術「立ち透かし(たちすかし)」。
800年の伝統を現在に伝える大日本弓馬会の流鏑馬を是非ご覧ください。

Anjo hitonaku anka umanashi 
鞍上無人 鞍下無馬 (あんじょうひとなく あんかうまなし)

Anjo hitonaku anka umanashi
No one above the horse, no horse under the saddle.
It means the unity of rider and horse.

It expresses the unison of the movement of rider and horse as if the rider does not feel the horse and the horse does not feel the rider.
Only those who have mastered the traditional riding style of Tachisukashi can attain this refinement.

人馬一体のこと。
乗り手にとって馬が無いごとく、馬にとって乗り手が無いごとく、人と馬が互いを感じない程に動作が調和して一体となっている様子。
伝統の技術「立ち透かし」を習得した者のみが到る極致。

流鏑馬とは

About yabusame, please click here(English)

「流鏑馬」とは、疾駆する馬上から左横に置かれた3つの的を射る神事です。単に武芸を競うのではなく、天下泰平(てんかたいへい)、五穀豊穣(ごこくほうじょう)、万民息災(ばんみんそくさい)を祈念して的を射る精神性の高い祭事です。
馬を走らせ、馬上から矢を射ることを騎射(きしゃ)または騎射(うまゆみ)といいます。騎射には、「流鏑馬(やぶさめ)」「笠懸(かさがけ)」「犬追物(いぬおうもの)」がありますが、中でも、神事である「流鏑馬」は別格とされています。

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流鏑馬の見所

流鏑馬の馬場の長さや的の間隔は鎌倉時代のままです。しかし、現代では体が大きく足も速い西洋産の馬を用いることも多く、的中させるのは至難の業です。次の的までの数秒の間に矢を番(つが)えなければならず、その難易度は現代の方が高いともいわれています。
流鏑馬の出場者は射手(いて)と呼ばれます。厳しい修業を積んだ者だけが射手になることができます。
射手は、「立ち透かし(たちすかし)」と呼ばれる日本にだけ伝わる極めて優れた乗り方を身につけています。立ち透かしは、脚で馬体を挟まず、腰は鞍に触れずに紙一重で浮かせるというもので、習得が大変難しい技術です。この乗り方により、射手は疾駆する馬上でも上半身が上下動しない美しい姿勢を保ち、的を正確に狙うことができるのです。
ご観覧の際には、流鏑馬の迫力をお感じいただくとともに、弓馬練達の射手による高度な射法と美しい騎乗姿勢にもご注目ください。

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流鏑馬の射手装束と馬具

流鏑馬神事に出場する射手は、鬼面綾檜笠(きめんあやひがさ)をかぶり、直垂(ひたたれ)または素襖(すおう)を身につけます。左腕には各射手の家紋が金糸で縫い取られた射籠手(いごて)をつけ、腰には鹿の夏毛で作られた行縢(むかばき)をはきます。行縢の上から太刀を佩き、前差し(鎧通し)を差し、手袋をつけ、足袋、射沓(いぐつ)をはきます。重籐(しげとう)の弓を持ち、腰には神頭矢(じんどうや)と呼ばれる鏑矢を手挟みます。神事では血を忌むことから鏑矢には鉄の鏃を付けません。
流鏑馬で用いる馬具は、和鞍(わぐら)、和鐙(わあぶみ)と呼ばれる日本独特のものです。いずれも現代では製作技術が絶えており、骨董品を補修しながら使用しています。
和鞍は木製で、前輪(まえわ)、後輪(しずわ)、居木(いぎ)、四方手(しおで)などで構成されます。和鐙は鉄製で、足を包み込むような大ぶりのものです。舌の形に似ていることから舌鐙(ぜつあぶみ)とも呼ばれます。大きく重いため安定性があり、この和鐙によって射手は立ち透かしが可能となるのです。

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流鏑馬の起源

流鏑馬の起源は古く、6世紀に欽明(きんめい)天皇が宇佐の地、現在の大分県の宇佐神宮において矢馳馬(やばせめ)として3つの的を射らせたことに始まるとされています。平安時代には、宇多(うだ)天皇が弓馬を極めた源能有(みなもとのよしあり)に命じて「弓馬の礼法」を定めさせました。そして、後に源家が代々相伝することとなり、新羅三郎義光の子孫である武田・小笠原の両家に伝えられました。
源頼朝(1147-1199)は、鎌倉幕府を開いて武家政権を立ち上げた人物であるとともに、かつて神事流鏑馬の故実に通暁していた西行法師にその教えを乞い、文治3年(1187)に天下平定を記念しての流鏑馬を奉納しています。また、弓馬の達人を集めて話し合いを行わせ、流鏑馬の式法を定めるなどして、その隆盛に多大な貢献をしています。
その後、戦乱の世の到来とともに流鏑馬は一時期歴史の表舞台から消えていました。しかし、栄枯盛衰を経ても、その教えは代々受け継がれ、現在にまで脈々と続いています。

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騎射の射法

騎射の射法には多くの種類がありますが、行事で披露している主なものは次の3つです。

【弓手横】(ゆんでよこ)
左真横を射る射法のことをいいます。流鏑馬では弓手横で3つの的を立て続けに射ます。

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弓手横

 

【弓手筋違】(ゆんですがい)
左下に置かれた的を射る射法のことをいいます。笠懸で行われます。

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弓手筋違

【馬手筋違】(めてすがい)
右下に置かれた的を射る射法のことをいいます。笠懸で行われます。射手は弓を左手に持つため、右側に大きく体をひねり、馬の首を越えて右側で弓を構えるという大変難しい技です。

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馬手筋違

 

※笠懸とは
「笠懸」は平安期から鎌倉期に盛んに行われ、吾妻鏡には源頼朝、頼家が御家人たちと「笠懸」に興じたことが記されています。当時の騎馬武者は、頑丈な大鎧に身を包み、簡単に致命傷を与えることは困難であったことから、鎧武者の急所である顔面を狙い、敵将が顔を上げたり振り返ったところを一矢で仕留める技術が重要とされました。「笠懸」はこの技を修練するためのものであり、平将門、木曽義仲、新田義貞がいずれも顔面に矢を受け陣没しています。

※行事における笠懸
「流鏑馬」が一方向に馬を走らせ、左側真横に置かれた3つの的を射るのに対し、「笠懸」は馬場を往復しながら的を射ます。
往路の的は両端を竹矢来で囲まれており、的を狙う機会は人馬と的が直角に位置する一瞬にしかありません。
また、復路の小笠懸は小ぶりの板で、馬の左右足元に近くに置かれた的を射るという大変高度な技術が要求されます。

kasagake

笠懸

流鏑馬の式次第

【出陣】
寄せの太鼓(よせのたいこ)を合図に一同勢揃いし、隊列を組んで出陣します。
【鏑矢奉献・願文奏上】
(かぶらやほうけん・がんもんそうじょう)
一同昇殿し、奉行は鏑矢を神前に奉献した後、玉串を奉奠(ほうてん)し、天下泰平、五穀豊穣、万民息災の願文を奏上します。
【鳴弦の儀】(めいげんのぎ)
弓の弦の音を鳴らすことで、邪気を祓うとされる儀式です。11世紀後半、天皇が病に罹られたとき、弓の名手として名高い源八幡太郎義家が弓の弦を三度鳴らし、その病魔を退散させたことが起源といわれています。
【天長地久の式】(てんちょうちきゅうのしき)
奉行より命を受けた射手は馬を中央に進め「五行の乗法」を行います。左に3回、右に2回、馬を乗り回し、中央で馬を止め神前に目礼します。鏑矢を弓に番え、天と地に対し満月のように弓を引き絞り、「天下泰平、五穀豊穣、万民息災」を祈念します。
【行軍】
一同は隊列を組んで馬場を行軍します。行軍中は序の太鼓(じょのたいこ)を打ちます。
【素馳】(すばせ)
奉行は記録所(きろくどころ)に昇り、諸役は配置につきます。奉行は破の太鼓(はのたいこ)を打ち鳴らし、射手は弓を射ずに全速力で馬場を走り抜ける素馳を行います。
【奉射】(ほうしゃ)
射手は一の組と二の組などに分かれ奉射を行います。射手は馬を全速力で走らせながら一の的から順に、弓に矢を番えては放ち馬場を駆け抜けます。奉射は各組とも2回ずつ行われます。
【競射】(きょうしゃ)
奉射の成績上位者が競射を行います。的は小さな土器的に替わり、的中すると中の小さな五色の紙が舞い上がります。競射により最多的中者が決められます。
【凱陣の式】(がいじんのしき)
止の太鼓(とめのたいこ)により競射を終え、凱陣の式(がいじんのしき)へと移ります。最多的中者は的を持って中央に進み出で跪座(きざ)します。奉行または検分役は、扇を開き骨の間より的を検分します。その後、太鼓方は陣太鼓を三打し、一同勝鬨(かちどき)を上げます。この儀式は首実検の意味も込められています。
【直会】(なおらい)
凱陣の式後に直会が行われ、御神酒を頂戴します。直会後、陣払いし、一切の儀式を終えます。

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天長地久の式

 

諸役

流鏑馬は、様々な役割を担う「諸役」と呼ばれる人々によって支えられています。諸役は直垂(ひたたれ)を着て流鏑馬に参加します。「太鼓方(たいこかた)」「旗持ち(はたもち)」「扇方(おうぎかた)」「的目付(まとめつけ)」「幣振(へいふり)」「矢取(やとり)」の6種類の役割があります。

[太鼓方]行軍や凱陣の式などで太鼓を叩いて合図を送ります。
[旗持ち]行軍の先頭で紅白の旗を立て、一同を率います。
[扇方]扇を翻して馬が走る合図を送ります。
[的目付]的の的中判定と的の架け替えを行います。
[幣振]矢が的に的中したことを幣を振って知らせます。
[矢取]射手が放った矢を拾い上げ、射手に手渡します。

このように、諸役には様々な種類があり、いずれも流鏑馬において欠かすことはできません。流鏑馬を支える諸役に選ばれることもまた名誉なことなのです。

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 行軍中の諸役

 

 

 

 

 

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